地盤研究財団
財団紹介 研究・とりくみ 研究成果 お知らせ LINK先一覧
研究論文
地盤研究財団論文報告書
研究書籍
関連図書
特許
受賞
 

No.29
(2016.4 〜 2017.3)

序文

 2016年4月14日午後9時26分、熊本地方でM6.5の地震が発生した。その後余震が続いたが、4月16日午前1時25分にM7.3の地震が起こり、余震とは何かの議論があった。調査の結果、14日の地震は、日奈久断層帯の高野‐白旗区間の断層活動であって、16日の地震は布田川断層帯の布田川区間の断層活動によるものとされた。さらにその後大分地方でも上記断層の延長線上で地震が発生し、前震、本震、余震の区別がつかず、一連の地震と呼ぶことで落着いた。14日と16日の地震によって、家屋の倒壊と土砂災害で50名の方が亡くなったが、益城町など布田川・日奈久断層帯周辺の河川に沿って犠牲者が集中していたようである。また、家屋は約8,500棟が全壊、 30,000棟以上が半壊し、熊本城も甚大な被害を蒙った。

 この地震の後、白川の上流、阿蘇外輪山の出口に建設予定の立野ダムがあることを知った。白川は熊本県の中央部を貫流する河川で、その源を熊本県阿蘇郡高森町の根子岳に発し、阿蘇カルデラの南の谷を流下して、同じく阿蘇カルデラの北の谷を流れる黒川と立野で合流した後、熊本平野を貫流して有明海に注ぐ、一級河川である。白川の河床は、中流部の勾配が急峻で、白川上流部の阿蘇カルデラに降った雨が熊本市街部を含む下流部へ一気に流下する特性がある。熊本市街部を含む白川下流部は、洪水時の水位が周辺地盤より非常に高い、天井川状態で、一旦氾濫すると浸水被害が拡大する。なお、平成28年6月の洪水では、死者行方不明者422人、家屋浸水31,145戸、橋梁流出85橋と甚大な被害を蒙っている。

 立野ダムは、昭和28年の洪水と同程度の洪水に対し、基準地点である代継橋(よつぎばし)地点における基本高水のピーク流量3,400m3/s を、立野ダムにより400m3 /sを調節することで、計画高水流量3,000m3 /s に低減して洪水被害の防止又は軽減を図る、洪水調節専用の流水型ダムである。立野ダムの建設は、ダム上流部の峡谷を活用することで、上流河川内に遊水地を形成して洪水を防ぐものと考えればよい。
熊本地震後、立野ダムの建設に関して、ダムサイト予定地の基礎岩盤の状況等を調査・検討し、立野ダム建設に係る技術的な確認・評価を行うため「立野ダム建設に係る技術委員会」が設置された。検討事項は、@ダムサイトの基礎岩盤の状況、Aダムサイトの第四紀断層の状況、B湛水地周辺斜面の状況、等である。6月2日に依頼を受け、6月9日に立野ダム周辺視察を行った。その後、7月27日に立野ダム建設に係る技術委員会第1回会議を、8月3日に現地視察を含めた第2回会議を、 8月17日に第3回会議を開催し、「熊本地震後も立野ダムの建設に支障となる技術的課題はなく、立野ダムの建設は技術的に十分可能である」との結論をまとめた。ダム建設に関わり、ささやかながら熊本地震を学ぶ夏をすごした。

さて、本論文報告集は平成28年度(2016年4月−2017年3月)における他機関との共同研究を含め当財団の所員が公表した研究成果をまとめたものであり、関係各位に感謝申し上げ、序文とする。

 

平成29年6月

 代表理事   足立紀尚
財団法人 地域 地盤 環境 研究所
TOP サイトマップ ENGLISH